2008年09月02日

★親ががんになるということ★

 がんと告知された時、私は「子どもいなくて良かったな」と思ってしまった。いたら良かったな、ではなく。幼い子どもを抱えて闘病生活をすることを想像しただけで、胸が張り裂けそうになってしまう。その点、我が家は気楽だよね、と思ったのだ。

 もし、万が一私が死ぬようなことになった時「子どもがいない方がメェメェも再婚しやすだろうしね」と思ったし「この人の眼差しを一身に受けて、文字通りこの人の心を独占して死ねるのならそんな人生の終焉も悪くはあるまい」と考えたのだ。

 とあるお医者さんが書いた本で、幼い子ども2人を残して乳がんで亡くなっていった若いお母さんの最期の様子を読んでしまったから余計にそう思うのかもしれない。「患者さん本人には最期まで意識があり、下のお子さんはまだ2歳で『ママ』と片言で呼びかける中、息を引き取った」と書かれていたその文章を読んで「世の中にこんな残酷なことがあっていいものなのか!」と悲しみを通り越して、憤りすら感じてしまった。

 実はメェメェもがん遺児だったりする。付き合って間もない頃、あまり父親の話をしないメェメェに対して「アナタのお父さんって、どんな人だったの?」と訊いたことがある。すると「父親と一緒に過ごしてからの時間よりも、死んでからの時間の方が長いんだから、あんまり憶えていないんだよ。」と言われ、その場でわっと泣き伏してしまいたい衝動に駆られてしまった。

 14歳の時に父親を亡くしているメェメェでさえ、そうなのだから下の弟さん達はもっと憶えていないのではないだろうか、と思う。いつだったかお義母さんが「一度だけ、下の子が『お父さんが欲しい』と言って、こたつにもぐって泣いていたことがあってね。それ以来、上のお兄ちゃん達は『お父さん』って言葉を言わなくなったね。」という話をしてくれた。

 『さいごの約束』という本にも、親ががんになった時、子どもにどのように伝えるか、とお母さんが悩む記述があったが、メェメェのお母さんも相当迷ったに違いない。結局、この本と同様に長男であるメェメェにだけ「もう助からないらしい」と知らされた、という話を私は義理の妹から聞いた。

 何しろメェメェ本人は、こういったことに関して多くを語らないから、お義母さんや弟さんのお嫁さんから、間接的に当時の様子を聞くことになるわけだが、私には「そこには本人にしか分からない苦悩があったのだろう」と察することしか出来ない。

 また、親を割と早くに亡くしてしまうと、親が亡くなった年齢が近付くにつれ「自分は親以上に生きられるだろうか」という心理に陥る、という話をしばしば聞く。メェメェも例外ではないようで、「親よりも、長く生きるのが俺の目標。」と言っているのを私は度々聞いている。

 それでも時々自信が無くなるようで「俺は長生き出来るかな。」と言っているのも聞いている。実際、結婚前にはメェメェの首にもシコリがあり、「ごく稀にがんのこともあるので」と数年間は経過観察だったこともあるから、余計にかもしれない。

 結婚当初、暫くは子どもを望まず2人きりの生活を楽しみたい、と私が強く願った理由の一つは「もしメェメェががんだった場合、お義母さんのように女手一つで立派に子育てをする自信がない」と思っていたから、だったりする。

 結果的には、開けてビックリ玉手箱!私の方が先にがんになってしまった、というオチがつくのだけれど…。
 
posted by スマイリー at 13:13| Comment(4) | 子どもについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うちは私が若年性乳がん、旦那のお父さんが白血病で闘病中。
だから立派なガン家系になってしまった。
まだ23歳にして、嫁も父も抗がん剤でつるっパゲを経験した男は彼一人くらいしかいないと思う。

今から子供を産んで心配ごとが増えるより、夫婦2人で楽しく過ごしたいと思ってしまいます。
Posted by RIRO at 2008年09月03日 08:41
◆RIRO さま◆
がんって厳密に言えば、遺伝病ではないらしいですけどね。一部の例外を除いて。
でも、もし女の子が生まれてしまったら、やっぱりその子はハイリスクになるんですよねぇ。
Posted by スマイリー at 2008年09月03日 21:06
「この人の眼差しを一身に受けて、
文字通りこの人の心を独占して死ねるの
ならそんな人生の終焉も悪くはあるまい」

この言葉に感動しました。
そこまでに思える伴侶に出遭えて
スマイリーさん、幸せ者です。
私(未婚)もそんなパートナーに出遭う
までは死ねない!って思いました。

Posted by 猫山 at 2008年09月07日 01:00
◆猫山 さま◆
感動、と言われるとかなり恥ずかしいですが…でも真剣にそう思いました。

罹患後に結婚している方の話をチラホラ聞きますが、ちょっと羨ましい気もします。結婚後に罹患だと、どうしても後ろめたい気持ちが拭い去れないので。

Posted by スマイリー at 2008年09月07日 22:12
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