2011年01月25日

仮定法過去 もし〜ならば、…だっただろうに

 これから起こりうることに対して「もし…」と想定するのではなく、すでに起きている現実あるいは起こってしまった出来事に対して、「そうでなかったならば…」と反対の事象を想像することを、英文法では仮定法と言う。なんて書きつつ専門じゃないので、この定義づけに誤りがあったらゴメンナサイ…と先に謝罪をしてみたりするけど。いや、いざって時はwhitebirdさんが訂正して下さるかしら。

 日本の和歌なんかだと「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」なんてのが代表的な例文になるかなー。「もしもこの世の中に桜の花がなかったなら、春はもっと穏やかに過ごせただろうに…」=「(桜の花はとても綺麗だけれど、なまじ)この世に桜の花があるから、春はソワソワして落ち着かなくなっちゃう」ってな具合に。


 そんな想像を巡らせたからといって現実は変わらないのよ、と知りつつも、つい考えてしまうとはよくあることなのかもしれない。実は乳がんが発覚するちょっと前「子ども、いてもいいかな…」と迷った時期があった。仕事にも慣れたし、奨学金も返還したし、30歳になったし…と条件がそろった気がしたから。でもそんな時に限って、妊娠はせず、月のものの間隔がおかしいな…と不審に思っていたら、乳がん検診の結果で気になる所見が出て「今は検診の結果を詳しく追及しよう」という気になり、クロの判定が出たという…。

 あの時もし「やっぱり子どもが欲しいから、検診結果なんて気にするな!」とスルーしていたら、私の早期発見はなかったのかな、と思うことがある。もしかしたら妊娠から数年後に大きくなった状態で発見されていたかもしれないし、あるいは妊娠中に乳がんが見つかって治療と出産と育児を並行していたかもしれない…。自己触診のやり方で「肉まんの中に梅干しの種がある感じ」と表現されているけれど、私のシコリは時計の針で例えるならば10時から11時のあたり、つまり体の中心の肋骨の周辺にあったから、触っただけではシコリとはおよそ認識出来ず、手術前日でも「これがシコリなの?肋骨の一部摂られちゃったりして…」と思っていた状態だったから。

 そんな思いもあったからか、手術と放射線治療を終えた後も「どうやら命拾いしたみたいだし、『子どもを産むべき?』とか周囲の目を気にするんじゃなくて、自分の人生を謳歌しようよ!」という方に気持ちが傾いてしまっていた。で、念願叶ってメェメェ様と再びヨーロッパ旅行を楽しんだり、テニスの試合に出たり、美味しいモノを食べに行ったり…2人の時間を心ゆくまで満喫し、「このまま、この仕事を続けて、テニスして、この人を独占して生きていけるなら、私にとっては子どものいない人生の方が向いてそう♪」と考えていた矢先、再び「もし…」が起こることになった。

 去年の夏は、異様に暑かった。そのせいか、はたまた体が冷えないように気を付けていたせいか、私の平均体温も例年以上に高かった。そして体温計。実はちょっと前に体温計を買い替えていた。これまでは毎朝、記憶してグラフに書き写していたけど、最近のはなかなかスグレ物で毎回記録しなくても、体温計の中にメモリが付いているから、数週間後にまとめて転記することが可能になった。

 もし去年の夏が猛暑でなかったならば…、体温を従来通り毎日こまめにキチンと把握していたならば…、自分の過去のデータを過信していなかったならば…、ノルバ服用中のようにしっかりと管理していたならば…、今回の妊娠はなかっただろう、と思う。どれもほんのちょっとしたことだけれど、幾つもの偶然が重なったことで思いがけない事態となり、本来ならば喜ぶべきことなのに、それ以上に動揺してしまった…。

 9月も半ば。既にムカムカする感じを抱えながら、意を決して婦人科へ。台のカーテンの向こう側から「これで子宮外妊娠の可能性は無くなりましたね」と言われ「んじゃ、子宮内に妊娠してるんですかっ?」と思いながらエコーの画像を見ると確かにそこには、何かが存在した。着衣を整え、隣の部屋に呼ばれると、エコーの写真が渡された。いわゆるティア・ドロップというのかな、水滴のような魂のようなしずくの形をしたものがそこには写っていた。

 「乳がんの治療は終わっているようだけれど、この病院に紹介状を書いておきましょうか?」と聞かれ、我に返る。「そうだった、そうだった、れっきとした既往症があるもんね」と思いながらも呆然としている私の様子を見てとってか「おめでとうございます」と言われ「お、おめでとうございます、ですか…」とオウム返しに聞き返してしまった。「どっちにしろ、来週以降もう一度来て下さい」と言われたのを機にノロノロと診察室を出た気がするけれど、記憶がチョット曖昧。乳がんを告知された時の方がよっぽどしっかりしていたかもしれない。

 すっかり遅くなってしまったので、メェメェ様に電話して「今から帰る」旨だけを伝える。で、帰宅してエコーの写真を見せながら、切りだしてみる。
私「あのね…妊娠した…」
メ「えぇーっ!ウソでしょう?何でぇ〜?どうしてぇ〜?ウソでしょう?」
私「これがそうみたい」(と写真を見せる)
メ「…って、ことは、あの晩の…?」
私「…そうだろうねぇ…」
メ「こんな時、子どもが欲しい夫婦なら大喜びするんだろうねぇ…」
私「そうだねぇ…これから私の人生、どうなるんだろう…?」
メ「全くだ!あの…メェメェは育休は取れませんが…」
私「分かってるよ。私が仕事を辞めるよ」
メ「しかし驚いた…」
私「私が乳がんを告知された時とどっちがビックリした?」
メ「イイ勝負かも…」
私「あ、やっぱり?私も同じくらい衝撃的だった…」

 確か、こんな感じのやりとりをしたように思う。同棲していた頃からずっと子どもが出来ない様に注意を払っていたし、いざ「子どもを希望しようかしら」と思った数ヶ月は全くそんな気配がなかったし、子どもを望んでいても縁がなかったり、数百万円掛けて授かった人がそれぞれの親族にいたりしたこともあって、とにかく驚いてしまった、というのがホンネだった。でも悪いことではないのだし…と、呆然としつつも笑っていられる余裕があった。この時点では、まだ…。
posted by スマイリー at 15:26| 子どもについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする